前章では、
安易な価格設定が招いてしまう怖さに触れました。
意外とよくあるケースですので、
ご覧になってない方は、是非、前章からお読みください。
続く本章では、
教科書的な価格設定方法を知って基本をご案内します。
一般的に価格設定法は、以下の三つに大別されます。
1.コストを基準とした設定法
2.競合価格を基準とした設定法
3.マーケティングを考えた設定法
順番に説明しますね。
1.コストを基準とした設定法
これは、「どのくらい費用がかかるのか」に、
「どのくらい収入を得たいのか」を上乗せして、
そこから価格を決めていく考え方です。
原価基準法、コスト基準法などの名称があり、
細かくは、マークアップ法、コストプラス法などに
分類されます。
より、キチンと理解するには、
簡単にでも損益計算の式も知っておきましょう。
__【 損益計算の式 】__
A.売上
:顧客平均単価×来店数
B.原価
:サービスを提供するうえで、直接掛かる費用です。
施術で用いるオイル代やリネン代などがこれにあたります。
概念としては、「変動費」とも言われ、
来店数の変動によって増減します。
なので、レンタルサロンで施術をされるケースや、
施術ごとスタッフに委託代を支払をする場合、
サロンレンタル代やスタッフに払う委託料なども
原価になります。
(スタッフを雇用する場合は、
給与は後述する販管費にあたります)
C.粗利益
:[ A(売上)-B(原価)]で算出します
D.販管費(販売管理費)
:サロンを運営、維持するための費用です。
店舗費用や光熱費、広告費などがこれにあたり、
スタッフを雇用する場合は、人件費もこれに含まれます。
また、オーナーの報酬も含まれます。
「固定費」とも言われ、売上、来店数の増減に関わりなく、
広告費や採用経費、備品の購入費は戦略的に増減しますが、
サロン経営が安定していくと、一定の水準で固定される
特徴があります。
E.収益
:[ C(粗利益)-D(販管費)]で算出します
____________
コスト基準法は、この損益計算の式を理解したうえで、
「C(粗利益)が、D(販管費)と希望するE(収益)の合計を
越えるためには、どのくらいの価格設定にしたらいいか」
を導き出す計算方法です。
例えば、
ベッド4床のサロンを経営される予定で、
家賃15万円、光熱費2万円、通信費1万円、広告費5万円、雑費1万円で、
販管費の合計が24万円かかるとしましょう。
オーナーとして、施術にも入りつつ、自分の欲しい収入が50万円。
ここに、将来の改装代や、備品の入換え、スタッフさんの採用費など、
サロンの成長を考えた貯蓄分も必ず想定しましょう。
仮に、毎月6万円ずつは貯蓄に充てるとします。
スタッフを業務委託でお願いするとして、
施術代の50%を支払うことを想定。
そうすると、
販売管理費は24万円 + オーナー収入50万円 + 想定貯蓄6万円
=80万円
この80万円は、いくらの売上があれば得られるでしょう。
施術代を50%に想定しているので、160万円の売上が必要です。
ベッド一床あたり、一日平均5人のご来店があると想定した場合は、
5人 × 30日 × 3床 = 450人
ひと月あたり450人の来店数を見込んだ状況です。
この場合、
160万円 ÷ 450人 = 3,556円
つまり、3,556円以上の平均単価となるように価格設定を
行なう必要があると導き出せます。
ここまで読まれて気づいた方もいるかもしれません。
今、リラクゼーションサロンが、会社さんの経営するサロンも、
個人サロンも、どんどん増えている理由は、
社会的ニーズが増えていることや、認知度が上がっていることも
挙げられますが、この業種の原価率の低さも大きな要因です。
「何かをつくって(仕入れて)売る」業態と違い、
個人で行っても原価も販管費もほとんど掛からず、
スタッフと業務委託契約を結ぶ会社経営サロンでは、
人件費を変動費として計算でき、固定費を抑えられるので、
失敗しにくい点がサロン開業が人気のある大きな要因のひとつでしょう。
また、このコスト基準法を用いる際の注意点としては、
サロンの規模(※)を拡大することを見越している場合、
それを見越した設定をする必要がある点です。
(※サロンの規模については、こちらで解説しています)
個人でサロンを開業していて、将来的にはスタッフを雇いたい、
または、業務委託でお願いしたいというケースがありました。
その場合、個人オーナーサロンの時点で、将来を想定した
価格設定を行なう必要があります。
スタッフさんが安心してお仕事を続けられるだけの報酬計算と、
オーナーが管理する固定費を賄うことの両方を考慮すると、
個人オーナーサロンで必要とする最低限の粗利計算より
上回ることが予測されます。
「スタッフを雇ったからメニュー価格をあげました」では
お客様からしたら関係ないことなので納得していただきにくい理由ですね。
なので、開業時点から、将来を想定したコスト基準法を
用いた計算をしておいた方がいいでしょう。
以上、コスト基準法をサロンに用いた場合のご案内でしたが、
言ってみれば、
「サロン側の自分の視点から見た設定法」です。
第一章でご紹介した彼女も、
最初からこの視点を持って価格設定をしていれば、
辛くなることを回避できたのでしょう。
実際、ご相談後に改めて、「月々の得たい収入」や、
「サロンをより理想に近づけるための経費」を考えて、
お客さまに喜んでいただける価格を一緒に考えていき、
ご本人も適正といえるラインを決めていきました。
次の章でご案内する、残り二つの
「教科書的な価格設定法」ですが、また、違った視点での設定法です。
どれか一つを使うのではなく、すべてを用いるのが正しい視点です。
次章からは、残りの二つをご案内し、続いて、
「顧客心理に基づいた価格設定の応用テクニック」に繋がっていきます。

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